お口の健康を守るためにhealth
一生涯大切な歯でいるために
日本では、「高齢になれば歯は勝手に抜けるもの」「入れ歯を入れるのが当たり前」と考えている人がまだまだ多いのが現状です。
他の先進国に比べて歯の定期健診に対する意識が低いことから、歯周病が見逃されたまま悪化していることが多く、70歳の時点で残っている歯の平均本数は予防先進国のスウェーデンが21本であるのに比べ、日本はたった16.5本となっています。
いくつになっても自分の歯で食事や会話が楽しめることは、より充実した人生を過ごす秘訣です。
日ごろからの定期健診で、あなたの歯の健康寿命をもっと伸ばしていきませんか?
ご自身のお口のこと、どのくらい知っていますか?
お口の健康維持への第一歩は、現状をしっかり知ることです。
日本では歯が痛くなってからようやく歯科医院に行くという人が多く、健診やクリーニングのために定期的に通院する習慣が浸透していません。そのため、自分のお口の状態を正しく知らない人がほとんどです。放置すると、症状がどんどん悪化して、せっかく完治した歯も再度むし歯になってしまう可能性もあります。
当院では「唾液検査」を導入!
現在のお口の状態を「数値化」し、わかりやすくお伝えしています。
唾液検査でできること
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- 歯の健康に関すること
- 唾液からお口のむし歯菌の数や、酸性度、緩衝能(酸に対する抵抗力)を調べます。お口の中の酸性度が高かったり、酸に対する抵抗力が弱いと、歯が溶けてむし歯になりやすくなります。
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- 歯ぐきの健康に関すること
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唾液から白血球の量やタンパク質の量がどれくらいあるか確認します。
歯と歯ぐきの間に細菌が増加すると、生体の防御作用によって白血球が増加し、歯垢の影響でもタンパク質が多くなります。
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- お口の清潔度に関すること
- 唾液からアンモニアの量がどれくらいあるか測定します。唾液中のアンモニア量はお口の中の総細菌数と比例するといわれており、アンモニアが多いと口臭等の原因になるといわれています。
※平均的な数値とも、照らし合わせながら状態を確認します。
診断結果に合わせて行う治療
むし歯の進行度に合わせて治療します
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- むし歯(C1)
- エナメル質が溶けてしまうと、再石灰化だけでの修復は望めません。そのため感染した部分を削って、歯科用プラスチックで補います。エナメル質を削る際は痛みが伴わないため、麻酔の使用はありません。治療回数は1回で完了します。
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- 象牙質まで進んだむし歯(C2)
- むし歯になっている部分を削り取り、金属やセラミックなどの詰め物・被せ物をします。象牙質は神経に近い組織で、削ると痛みを感じるため、麻酔をして治療を行います。詰め物を作製する期間が必要になるため、約2~3回の通院が必要です。
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- 神経まで進んだむし歯(C3)
- 神経まで進んだむし歯は、感染した神経を除去・清掃し、無菌状態で保存できるように薬を詰める「根管治療」を行います。これは細菌に感染した歯を保存できる唯一の方法です。約5~7回の通院で治療を行い、最後に被せ物をして歯の上層部(歯冠部)を補います。
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- 歯根だけ残ったむし歯(C4)
- 神歯の上層部(歯冠部)が溶けきり、歯の根だけが残った状態です。このまま放置すると歯根の先に膿がたまったり、全身の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。残念ながら治療は施せないため、抜歯を行い、入れ歯などの義歯で補います。
要注意!完治したからといって、放置してはいけません。
一度治療した歯であっても、詰め物・被せ物の劣化からすき間が発生し、そこからむし歯菌が入り込んで、「二次むし歯」を引き起こすことがあります。大人のむし歯治療の約2割は、この二次むし歯だと言われています。年齢を重ねると歯の神経を囲む組織が厚くなるため、進行してもなかなか痛みを感じにくく、治療のタイミングが遅れてしまうのです。歯は繰り返し治療を行うたびに削られて弱くなっていくので、5回治療したら抜歯の可能性が高くなるとも言われています。
「何度もむし歯になるのはしょうがないこと」とあきらめずに、治療回数を抑えるためにも、正しいブラッシングと定期健診で二次むし歯を防ぐことが大切です。
歯周病の進行度に合わせて治療します
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- 歯肉炎
- 歯のまわりに歯垢が付き、歯ぐきに炎症が起きます。赤みや腫れといった症状が見られます。 ●治療方法 セルフケアの方法を見直し、汚れを付きにくくすることで改善していきましょう。
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- 軽度歯周炎
- 歯周ポケットが深くなり、歯を支えている歯槽骨が溶け始めます。歯みがきをすると出血します。 ●治療方法 お口にこびりついた汚れを、専門の器具で丁寧に除去していきます。
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- 中等度歯周炎
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歯槽骨がさらに溶け出し、歯が動くようになります。膿が出ることもあり、口臭がひどくなります。
●治療方法
とても深い部分まで汚れが溜まってしまっています。
歯石除去だけでなく、歯周外科治療を行う場合もございます。
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- 重度歯周炎
- 歯を支える歯槽骨が2/3以上溶け、歯が抜けそうな状態になります。口臭がよりひどくなります。 ●治療方法 この段階では、顎の骨も大きく溶かされているため、歯石除去だけでなく、エムドゲインや骨移植などの外科治療が必要です。
プラークコントロールで改善しましょう
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- 歯科医院でのクリーニング
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歯科医師や歯科衛生士によるプロの処置で、歯周病の原因となるプラーク・歯石の除去を行います。
超音波スケーラーなど専用の器具を使い、歯を傷つけずにプラークや歯石だけを除去したり、歯根にまで蓄積されたプラークや歯石を除去します。
器具にはさまざまな種類があるため、最適なものを選択し、沈着した歯石やプラークを徹底的に除去します。
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- ご自宅でのケア
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歯周病治療で最も重要なことは、患者さん自身が毎日行う「歯みがきでのプラークコントロール」です。日々のブラッシングを変えれば、重症でない限り症状の改善が見込めます。
お1人お1人歯並びや歯肉の状態が違うため、歯科衛生士が適切な歯ブラシやフロス、糸ようじ、歯間ブラシなどをお選びし、最適なケア方法をお伝えいたします。
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- 生活習慣の改善
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喫煙習慣のある方には禁煙を、甘い物を過剰に摂取している方は食生活の改善などを指導します。
特にタバコに含まれるニコチンには血管収縮の作用があり、歯周病治療の妨げとなります。喫煙している人は、歯周病の症状を繰り返しやすいので注意が必要です。全身の病気に対する抵抗力も落ちてしまうため、意志を強くもって禁煙しましょう。
大切なことは、定期健診!
お口の状態と正しい歯の知識で、
健康なお口を維持しましょう
いくつになっても健康なお口を維持するためには、「定期健診」を受けることが何よりも重要です。
3ヶ月~半年に一度の定期健診を受ける習慣があれば、お口の病気を早期に発見できます。そのため、通院期間・治療費も節約でき、何より大切な歯を損なわずに済むのです。
また、ご自宅で行う歯みがきでは、細菌の塊であるバイオフィルムや歯石までは落とせないので、定期健診と一緒にプロフェッショナルケアを行います。
お口の中の健康状態をきちんと把握したうえで、お口のプロからのアドバイスを毎日行えば、どなたでも健康なお口が維持できるようになります。
いつまでもすこやかで楽しい人生をお過ごしいただくためにも、ご自身のお口にもっと関心をもちましょう。全力でサポートいたします。